第2部:祈りの手紙朗読作品一覧
一般公募の手紙朗読
3.佐藤睦子(73歳・女・福島市)「愛犬チロへ」
“チロ”今までありがとうね。パパが亡くなってからは、いつも側にいてくれたね。6年前の3月11日、外出先で大きな揺れを感じ、とっさに近くのポールに掴まって体を支え、目の前の信号は止まりちぎれる程の電線の揺れを目のあたりにし、留守番をしているチロを案じ、ただ儘ならぬ状況の中に物の崩れる音の恐怖を感じつつ戻り、玄関の鍵穴に鍵の入らぬもどかしさが、ドアを開けた時の安堵、脅えているチロを抱き余震を恐れて外へ、あの時は冷たい風と雪がちらついていたね。でも抱いているチロの温もりと鼓動にひとりでないと感じさせてくれたね。しかし昨年の3月あの時と同じようにママの腕の中で静かに逝ってしまいましたね。でもいつも側にいるような気がしているよ。チロちゃんありがとうね。
独り暮らしのママを癒し支えてくれて本当にありがとう。大丈夫だから心配しないでね。
「チロが逝く 風やわらかき 春の日に」睦子
3月11日(土)「311祈りの日」第2部「祈りの手紙朗読」にて、本堂仏前にて朗読された手紙の一覧です。撰者:和合亮一。当日の作品朗読:和合亮一、夏樹陽子(女優)。受賞発表は当サイト掲載と記念品の発送をもってかえさせていただきます。※無断転載を禁ず。
1.奥田ゆり子(60歳・女・世田谷区)「逝きし人々へ」
2.油井憲一(80歳・男・福島市)「右腕のりんごの木よ」
3.佐藤睦子(73歳・女・福島市)「愛犬チロへ」
4.清野三枝子(83歳・女・福島市)「信夫山の柚子農家の皆様へ」
5.アンディ(39歳・男・福島市)「娘へ」
6.鈴木綾乃(25歳・女・気仙沼市)「故郷の海」
7.渡辺浩子(55歳・女・福島市)「はじまりの夏」
8.佐藤凛(12歳・女・福島市)「津波で亡くなった方々へ」
9.森松瑠衣(12歳・男・福島市)「亡くなった方へ」
10.高梨梨菜(12歳・女・福島市)「みなさんへ」
11.今野叶望(12歳・男・福島市)「震災で家族が亡くなった方へ」
12.佐々木瑠奈(12歳・女・福島市)「今でも苦しんでいる方へ」